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伸るか反るか

10回戦のボクサーAがいました。彼と同じジムに4回戦の駆け出しボクサーBがいました。AはBを後輩として応援していましたし、また、自らもBに憧れられるよう努力をしていました。いい関係を築いていたはずの2人でしたが、とある日、BはAに試合を申し入れました。同じジムの、しかも10回戦と4回戦の選手。もちろん公式では果たせません。非公式での挑戦でした。悩んだ末、実力がフェアでないと判断したAは、Bに、スパーリングなら、と提案し、Bもそれを承諾しました。来る日、人気のないジムにゴングの音が鳴り響くと、AはBをジャブで叩き、圧倒した試合展開をみせました。弄ぶかのように繰り返し軽快なジャブを放つA。Bに確実にダメージが蓄積されている様は、Bの膝を見れば一目瞭然でした。やがてそんなAも、十分楽しんだ、そろそろ頃合いだろう、とトドメのストレートをBの顎目掛けて打ち込みました。しかし、Bはそれを物の見事にかわしました。先ほどまでフラフラだったB。Aは、今なら倒せる、と確信を持って放ったストレートをかわされ、Bに不信感を抱きました。距離をとり、またジャブの応酬。しっかりと手ごたえを感じる。Bにダメージを与えてる。しかし、ストレートをかわされた先ほどのイメージが頭から離れず、Aは不信感を拭えずにいました。遊んでいたはずが、逆に遊ばれていたのでは、と。その疑りも晴れぬままゴングが鳴り、1分間のインターバル。Aは対角線上にいるBを睨みつけ腹の底を読もうとしますが、Bはタオルで顔を覆い、表情を見せようとはしません。兎にも角にも次のラウンド、相手の出方を伺うか、とAは大きく息を吐き出しました。

 

難しーね。どーしたもんかね。でも楽しいんだよね。ま、いっか。

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