ハコムス、アイドリング4000回転

乾燥機が動きを止めてくれるまで暇だし軽く。

 
そもそもハコムスを、あの曲のあそこの誰々があーだこーだと細かいところをオタク同士で侃侃諤諤、談論風発と批評し合うような見方してなくて、それこそ飯食い終わって談笑しながらだらだら観る月9みたいなもんでさ、身体は最前最中に居ようが心は気の抜けた茶の間にいるんだ。
 
好きになると詳しくなって次第に目も肥えていくわけで、目にしてきた数あるサンプルを参照に自分の中に適当な基準を作って、対象を感覚的ではなく数字的に分析し好き嫌いを判定する。悪かぁないけど、どこに豊かさがあってどこに貧しさがあるかなんて、血眼になって探しても見つかるのはシンプルな感覚に乗っかった細い理屈ばっかだし、そうやってるといつの間にか一つのライブという総体的な見方ができなくなって、断片的に注目するようになる。抽象的なことに目も耳も向けなくなり、具体的な良さに安心するようになる。
 
なんかいいよね。なんかだめだよね。
 
もうこれで伝わると思うんだ。納得できると思うんだ。だから茶の間気分で観れることをハコムスの良さの一つだと思ってた。
 
今日観て、やっぱハコムスはなんかいいよなーって毎度の如く思った。でももう茶の間では居られない気がしたんだ。
 
出来はどうであれ努力してんだなって、頑張ってんだなって節々に感じられて、それは大いに結構なんだけどね、アホな話、アイドルになっちゃったんだなって寂しくもあったんだ。
 
アイドルをなんとするかによって、前の一文の意味も大きく変わってくるのは承知してる。アイドルってさ、熱いじゃん。目標があって、その為に様々なものを犠牲にして、それをみてオタクは勇気をもらって、追体験しようと熱く応援する。その温度がさ、茶の間じゃない。温度差が生まれると、共有してた雰囲気すら感じ取れなくなる。やがてそれは違和感に変わり、終には嫌悪感へと変貌する。まだ温度差感じただけなのに大袈裟かもしれんがね。
 
これは誰が悪いとかの話ではなくて、運営もメンバーも活動に手応えを感じ始めたから熱量も上がってきたんだろうし、むしろそれは当然とも言えるんだ。とすれば、次回の定期で重大発表をすると小松が言ってたのも、恐らくは新メンバーやらオリジナル曲だろうと予想できる。脱退やら解散やらも否定はできんけど、新加入やらコンセプト変更の方が幾分も理に適ってると思うんだ。それを鑑みても、向こうは温度が上がっていってて、それはオタクにも同じ温度を求めることになるわけで、茶の間気分の俺には熱すぎるんだ。
 
オタクとして頑張って応援することに疲れ、引き合わせによってハコムスに流れてきた俺の勝手な欲求が満たされなくなったからといって、わがままで足を引っ張るように文句を垂れるのも筋違い。ぬるま湯に浸かりきった草臥れたオタクは、これからもぬるーくオタクしていくんだろうなって、他人事のように考えてるよ。
 
あなたはさながら坂道発進かのようなアイドリングの回転数で。
 
俺はとぼとぼ歩いて向かうよ。