いいオタク



行動の結果が相手の心情に反映されるだけであり、その相手の心情に重きを置いて行動を決定するなど愚の骨頂ですが、本当に愚の骨頂なのでしょうか。

アイドルオタク専用お悩み相談室があればいいなと思う昨今、結局お手上げされて縁切寺みたいになる未来が見えますので、今日もしこしこするわけです。


好かれるためになにをするかって話なんですが、なにもしないのが吉なのかもしれません。というのも、ただただサイリウムを振って背景に溶け込むことで誰でも"無害オタク"にはなれるはずですから。さらに、足繁く現場に通い、にこやかに見守り、金使って笑顔で今日の褒めポイントを語れば"優良オタク"、なおかつ若くイケメンなら"王子様"になれます。

これでミッションコンプリートと叫びたいんですが、誰もが王子様になれるなら苦労はしません。まあ簡単にいかないからオタクはオタクをやめられないんでしょうが、話を難しくしてる原因の一つが、オタクがオタクである、という事実です。なにも立場の話ではなく、単に"アイドル好き"という特性の話です。好きなことを突き詰めていけばいくほど、それぞれに"こだわり"のようなものが生まれてくるのは万物に対して共通かと思います。好きな女の子を等身大で見れているなら何の問題もなく、童貞ならではの女への理想を捨てれさえばすれば事は単純になります。しかし、なによりもまずこちらがアイドルとしてを前提に見てしまっていては、アイドルとしての批評が先にきてしまいがちなのです。

好かれたいけど、オタクとしての価値観も譲れない。この葛藤を葛藤と感じる事もなく、別々の話にしてしまうとよろしくない気がするんです。クソならクソというのが正直者でして、それも好きだからこその行動ですから、おべんちゃらを言ってご機嫌とりなど人間としての品格を疑わざるを得ないところではあります。

そもそもの話をすれば、文句を言ってそれが是正された経験などほとんどなく、だからと言ってそれが指摘をやめていい理由にはならないのもわかるんですけど、僕らが自身の経験からしか語れないように、アイドルも自身で経験してその都度方向修正しながらジグザグに進むしかなく、どうやらオタクの文句という結果はアイドルにとって方向修正するに値しないものらしいので、結局オタクは見守るか離れるかしかないのかもしれません。

ガチ恋の心理として、オタクとして以外の対応を求めてのオタクなわけですが、そこまで割り切ってオタクという立場を利用できるならば、いっそのことオタクの仕方も道具にすればいいのに、人は強欲です。

好きだし好かれたいという気持ちに対しても、正直者でありたいという気持ちに対しても、正直でいたいのです。なので、強かな選択として、取捨選択を必要としない"認めることによって是正がなされる"という道に進むことに、オタクのわずかな可能性をみるのです。


研ぎ澄まされてて、美しい。恋せよオタク。